母は認知症のためか、ほとんど会話をしません。調子のいい時は声をかければ「うん」という返事くらいはしてくれるけど、返事のない時も多いです。
元気な頃の母はコーラスサークルにも入っていたのですが、認知症になってからはほとんど声も出さないので、声を出そうとしても喉がつかえるような感じになってしまい、声が出にくくなってしまいました。
母にまた歌を歌ってもらいたいというのが家族の願いですが、今の状況ではとても難しそうです。そこで母が嫌がらない程度に少しずつトレーニングしてみることにしました。
声出しの練習のために音読してもらう
まずは母に声を出してもらうことから開始です。思ったことを口に出すのって難しいのかなと思ったので、会話より簡単そうな音読から始めました。
童謡やコーラスで歌うような簡単な歌の本を用意して、母に歌詞を紙に書き写してもらいます。歌うだけでなくて字を書く練習もして欲しかったので。
そして次に、書いた歌詞を読んでもらいました。歌わずに読むだけです。
何度か歌ってみるように誘いましたが、歌わなかったので読むだけにしました。
たどたどしく小声で読むのですが、音読は頭の体操にもなるようで、終わった後は会話が少しスムーズにできるように。
「なんで歌わないの?」の問いに「声が出ない」と答えたりするのでビックリです。いつもなら返事もしてくれないのに。
毎日朝晩1~2分程度の音読ですが、継続していくうちに声がしっかりしてきました。
声は出さないと出にくくなくなるというのは本当なんですね。声が出にくいからといって無口になってしまってはますます声が出なくなる。でも出していると少しずつハリのある声になってくるんです。
(喉の病気の時は声を出してはいけない時もあるかもしれませんのでご注意ください)
歌うのを嫌がっていた母がついに歌った
しばらく音読を続けていたある日、比較的声が出ていたので「ちょっと歌ってみて」と言ってみました。
母は「声が出ない」と言ったのですが「家だから声が出なくても大丈夫。練習だから歌ってみて」と言うと…なんと小さい声で歌い始めたのです。
元気な頃より音程取れなくなってるし声も出てないけど、ちゃんとメロディを覚えてるんです。アカペラで「どんぐりころころ」を歌う母に家族一同「お~っ」と歓声をあげてしまいました(笑)
それ以来母はたいてい歌詞を読まずに歌うようになり、最近ではちょっとビブラートかけた感じに歌ったりする時もあって、コーラスっぽい歌い方になってきました。
それと、音読するようになってから少しだけ日常生活に変化がありました。
声が大きくなったようで、デイサービスの方にあいさつする声がちゃんと相手にも聞こえるようになりました!些細な変化ですがとても嬉しいことです。
今後の目標:音楽療法っぽくしてみる
歌に慣れてきたら、今度はコーラス曲をヘッドホンで聞いてもらおうかと思っています。ヘッドホンの方がなんとなく集中して聴いてくれそうな気がするんですが、どうなんでしょうか。今はアカペラで歌っているけど、伴奏や歌声に合わせて歌えるかな?
認知症には音楽療法が良いらしいので、母には人一倍効果的なんじゃないかと思っています。母の長年の趣味のコーラス魂を刺激することによって、何か変わってくればいいなと思っています。
ついどんどん先に進みたくなってしまいますが、母に拒否されないようにスローペースで進めていく予定です。